副業で開業した個人事業主におすすめの経費管理ツール3選

副業と経費管理のイメージ

はじめに:副業時代の経費管理の重要性

近年、副業を始める人が急増しています。リモートワークの普及や働き方改革の進展により、本業の傍らでスキルを活かした副業に挑戦する方が増えているのです。しかし、副業で収入を得ると必ず直面するのが「経費管理」と「確定申告」の問題です。

特に副業を個人事業主として始めた場合、本業の給与所得とは別に「事業所得」として確定申告する必要があり、そのためには正確な経費管理が欠かせません。ところが、本業で忙しい中で経費管理まで手が回らず、確定申告の時期に慌てることになるケースが多く見られます。

本記事では、副業で開業したばかりの個人事業主の方に向けて、簡単に始められる経費管理ツール3選をご紹介します。時間をかけずに効率的に経費を管理し、確定申告をスムーズに行うためのポイントもあわせてお伝えします。

副業個人事業主が抱える経費管理の3つの課題

1. 本業と副業の区別が難しい

同じクレジットカードやスマホを使っている場合、プライベート、本業、副業の経費が混在しがちです。後から「これは副業の経費だったかな?」と迷うことも多いでしょう。

2. 時間の制約

本業の合間に副業をする場合、経理作業に割ける時間は非常に限られています。簡単かつ素早く処理できる仕組みが必要です。

3. 専門知識の不足

確定申告の経験がない方は、何を経費として計上できるのか、どの程度詳しく記録すべきかなど、基本的な知識が不足していることも多いでしょう。

副業個人事業主におすすめの経費管理ツール比較表

経費管理ツール比較表

以下の3つのツールは、特に副業で開業したばかりの個人事業主の方におすすめです。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

【ツール1】マネーフォワード クラウド確定申告

こんな人におすすめ

  • 副業を始めたばかりで確定申告の知識がない方
  • スマホで手軽に経費管理したい方
  • プライベートの家計簿も同時に管理したい方

主な特徴

1. 無料版から始められる親しみやすさ

基本的な機能は無料プランでも利用可能で、収入や経費が増えてきたら有料プラン(月額800円〜)にアップグレードできます。初めて経費管理を行う方でも始めやすい料金設定が魅力です。

2. プライベート利用との連携が便利

個人向けの「マネーフォワード ME」と連携させることで、プライベートの支出と副業の経費を簡単に区別できます。同じ銀行口座やクレジットカードを使っていても、タグ付けによる仕分けが可能です。

3. 自動取込みで手間いらず

銀行口座やクレジットカードと連携させれば、取引データを自動で取り込めます。スマホアプリからレシートを撮影するだけで経費データとして記録できる機能も便利です。

4. 自動での確定申告書作成

蓄積したデータをもとに、確定申告書が自動で作成されます。「何を書けばいいのかわからない」という初心者の悩みを解消してくれます。

活用のポイント

  • 副業用の「事業」を設定し、関連する口座やカードを登録しましょう
  • レシートはその場で撮影する習慣をつけると、後から悩む手間が省けます
  • 月に一度、10分程度で取引の分類を確認する時間を設けると安心です

【ツール2】freee会計

こんな人におすすめ

  • 副業を本格化させていきたい方
  • 将来的に法人化も視野に入れている方
  • 青色申告で65万円の特別控除を受けたい方

主な特徴

1. 直感的な操作性と充実した機能

会計知識がなくても使いやすい設計で、初心者から専門家まで幅広く支持されています。パーソナルプラン(月額1,180円〜)からスタートできますが、機能は本格的です。

2. AIによる自動仕訳提案

人工知能が過去の入力パターンを学習し、適切な経費科目を自動で提案します。使い続けるほど精度が上がり、入力の手間が減っていきます。

3. 確定申告のサポートが手厚い

青色申告にも対応し、必要書類の自動作成だけでなく、申告のポイントや注意点などの情報も充実。初めての確定申告でも安心して進められます。

4. 成長に合わせたプラン展開

副業が拡大して法人化する際も、同じ操作感で上位プランに移行できるため、データの引き継ぎも簡単です。

活用のポイント

  • 最初から青色申告を見据えた記帳を始めると、後々便利です
  • 取引の自動取込設定を活用し、入力の手間を最小限に抑えましょう
  • 無料のオンラインセミナーに参加すると、効率的な使い方が学べます

【ツール3】やよいの青色申告オンライン

こんな人におすすめ

  • 安定性と実績を重視する方
  • 税理士と連携して副業を進めたい方
  • PCでじっくり作業する方が多い方

主な特徴

1. 老舗の安心感

会計ソフトの草分け的存在で、長年の実績から生まれた安定性が魅力です。スタンダードプラン(月額1,100円〜)から利用可能です。

2. 充実したサポート体制

初心者向けのガイドが充実しており、電話サポートも手厚いため、操作に困った時でも安心です。

3. 確定申告書類の自動作成

入力したデータから確定申告に必要な書類を自動作成。副業で必要な書類を的確に用意できます。

4. 税理士との連携機能

税理士に相談したい場合、データ共有がスムーズに行える機能が便利です。

活用のポイント

  • チュートリアルをしっかり活用して、基本操作を習得しましょう
  • 副業用の帳簿を最初に設定しておくと管理がしやすくなります
  • PC版を中心に使い、スマホアプリはデータ確認用として活用するのがおすすめです
確定申告作業のイメージ

副業の経費管理を成功させる5つのポイント

経費管理ツールを導入しただけでは、効率的な管理はできません。以下のポイントを実践することで、副業の経費管理をスムーズに進められるようになります。

1. 「業務との関連性」を常に意識する

副業の経費として認められるのは、その副業に関連する支出のみです。「この支出は副業のためだけに発生したものか?」と自問する習慣をつけましょう。例えば、自宅の一部を仕事場として使用している場合、光熱費の一部を経費計上できますが、その割合は適正である必要があります。

2. 領収書・レシートはその場で処理

紙の領収書やレシートは紛失しがちです。受け取ったらすぐにスマホで撮影し、経費管理ツールに登録する習慣をつけましょう。国税庁の電子帳簿保存法の要件を満たせば、電子データのみの保存も認められています。

3. 副業用の口座・カードを作るのもアリ

金額が大きくなってきたら、副業専用の口座やクレジットカードを作成するのも一つの方法です。プライベートと副業の支出を物理的に分けることで、管理が格段に楽になります。

4. 月1回の経費チェックを習慣化

毎月決まった日に15分程度、その月の経費を確認する時間を設けましょう。分類ミスがないか、取り込み忘れがないかをチェックします。この習慣があれば、確定申告時期に慌てることがなくなります。

5. 知識を少しずつ蓄える

税務や経理の知識は一朝一夕に身につくものではありません。経費管理ツールの提供するブログやセミナーを活用して、少しずつ知識を増やしていきましょう。確定申告の時期に役立つだけでなく、節税につながるヒントも得られます。

副業の経費計上で迷いがちな項目Q&A

Q1: 本業と副業の両方で使うパソコンの費用は経費になる?

A: 一定の条件下で経費計上可能です。副業での使用割合に応じて、その分を経費として計上できます。例えば、パソコンの利用時間の30%が副業に使われている場合、購入費用の30%を経費計上できる可能性があります。

Q2: 自宅の一部を副業スペースにしている場合、家賃は経費になる?

A: 仕事専用のスペースとして明確に区分できる場合、その面積比率に応じて家賃や水道光熱費を経費計上できます。例えば、自宅の総面積の10%を副業専用スペースとして使用している場合、家賃の10%を経費計上できる可能性があります。

Q3: 副業に関する勉強のための書籍や講座は経費になる?

A: 直接副業に関連する知識やスキルを得るための書籍代や講座費用は経費として認められることが多いです。ただし、あまりに基礎的なものや副業との関連が薄いものは認められない場合があります。

Q4: 副業ミーティングでの飲食代は経費になる?

A: クライアントとの打ち合わせや商談での飲食代は、一定の条件下で交際費として経費計上できます。ただし、金額や頻度が社会通念上妥当と言えるものに限ります。

Q5: スマホの料金は経費になる?

A: 副業のために明確に利用している部分については経費計上可能です。例えば、副業での利用が全体の40%程度であれば、月々のスマホ代の40%を経費として計上することが考えられます。

まとめ:副業の経費管理は「続けやすさ」が鍵

副業の経費管理で最も大切なのは「続けられること」です。どんなに優れたツールでも、使いこなせなければ意味がありません。自分のライフスタイルやスキルレベルに合ったツールを選び、少しずつ習慣化していくことが成功の秘訣です。

今回ご紹介した3つのツールはいずれも無料トライアル期間があるので、実際に使ってみて自分に合うものを選びましょう。わずか数分の初期設定と、日々のちょっとした工夫で、副業の経費管理は驚くほど楽になります。

副業を始めたばかりの今こそ、効率的な経費管理の習慣をつけるチャンスです。本記事を参考に、ぜひ自分に合った経費管理の仕組みを作ってみてください。